豊島区立トキワ荘マンガミュージアムに行ってきました!
かつて豊島区椎名町(現南長崎)にあったトキワ荘は、手塚治虫をはじめとする現代マンガの巨匠たちが住み集い、若き青春の日々を過ごした伝説のアパートです。
トキワ荘は、昭和57(1982)年12月に解体されましたが、多くの皆様のお力添えにより、マンガミュージアムとして開館することができました。
豊島区立トキワ荘マンガミュージアム公式サイトより
マンガ・アニメを愛する皆様のご協力をいただきながら、マンガやアニメ文化を次世代に継承し発信する拠点として取組んでまいります。
地図ではここ↓
豊島区南長崎3-9-22。
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撮影可能エリアで撮影した写真を紹介しますね。
【便所】
2階の住人が共用で使っていたトイレ。男女共用でした。
奥に個室(大便器)が2室と、右手に小便器2カ所が設置されています。マンガ家が暮らした時代には大便器は汲み取り式で、用を足すと2階から1階へ落ちる仕組みでした。
臭いがきつく、目が痛くなるほどでした。
【共同炊事場】
トキワ荘には1階、2階に一つずつ炊事場があり、住人が共用で使っていました。
ガスコンロや鍋などの器具は各自が用意し、ガスを使用するためには月ごとに料金を払う必要がありました。
マンガ家たちはお金がなかったり、あってもすぐ映画などに使ってしまうため、食事には最小限の金額しかかけられませんでした。
寺田ヒロオはここで「キャベツ炒め」を作り、新漫画党の会合でふるまいました。
鈴木伸一は、ガス代を払えなかったため炊事場が使えず、パンばかり食べていたといいます。
山内ジョージが自炊に挑戦した際には赤塚不二夫のガス台を借り、赤塚の母親に料理の手ほどきを受けました。
流し台は洗面所としても使われました。
朝、顔を洗う時に他のマンガ家と顔を合わせ、作業の進み具合の話をすることもあったそうです。また、洗濯にも使われ、洗濯した衣類は部屋や廊下に紐をつけて干していました。
赤塚不二夫のマンガには、なんと、流し台を風呂の代わりに使う様子が描かれています。
一方で、他の住人と顔を合わせることもある炊事場は、地方から出てきた若いマンガ家たちにとっては少し気恥ずかしい場所でもあったようです。
この部屋にはこんなレジェンドの方々のお部屋だったみたい。
・手塚治虫さん(1953〜1954年)
・藤子不二雄Aさん(1954〜1961年)
・藤子・F・不二雄さん(1954〜1955年)
【20号室 よこたとくおの部屋】
よこたは、江戸川区小松川で赤塚不二夫と共同生活をしながらマンガ家を目指していました。
1956(昭和31)年に赤塚がトキワ荘に転出。部屋が空くのを待って、よこたもこの部屋へ移ります。
トキワ荘では、赤塚の母親が食事を作り、赤塚の部屋でよこたや石ノ森章太郎らが食卓を囲みました。
生活全般の面倒を見てくれた赤塚の母親は、本当の母親のようだったといいます。
赤塚とは将棋やマージャン共同で購入し、楽しみました。
よこたの趣味である大相撲や野球の観戦は、自分でテレビを購入する以前は、石ノ森の部屋で見せてもらっていました。
【19号室 水野英子の部屋】
水野がこの部屋に住んだのは、トキワ荘に暮らしていた石ノ森章太郎・赤塚不二夫と「U・マイア」名義で合作したマンガを描くためでした。
柳行李のスーツケース一つで上京し、机や布団などは、編集者の丸山昭や赤塚の母親が揃えてくれました。
黒いクレヨンで描かれた、壁のカウボーイの絵は、その上手さに、他のマンガ家も感心したそうです。
合作マンガの制作は廊下を挟んで向かい側の石ノ森の部屋で行われ、ちゃぶ台を囲んで3人で作業をしました。
各部屋のドアは開けたままになっていることが多く、石ノ森の部屋からは、クラシックやポピュラーのレコードがよく聞こえてきました。
【18号室 山内ジョージの部屋】
石ノ森章太郎は自室(隣の17号室)に加え、仕事部屋として18号室を借りていました。
山内は、石ノ森のアシスタントとしてこの部屋に暮らしながら、原稿を仕上げる作業を行いました。
山内の入居当初、アシスタントは1人でしたが、長田吉夫が加わったため机が2つあります。
棚の本や、映画のフィルムなどは石ノ森のもの。
自室がいっぱいで置くことが出来なくなり、この部屋にも置いていたそうです。
石ノ森は自身がトキワ荘を転出した後も仕事部屋は残しており、山内はこの部屋に引き続き暮らし、石ノ森や赤塚の手伝いに通っていました。
当時の貴重な資料や制作方法なども細かく展示。
映像で鉄腕アトムのテレビアニメ第1話が流れていました。
時代の熱気が館内のいたるところから伝わってきます。
伝説のマンガ家たちも生身の人間であり、試行錯誤・切磋琢磨を繰り返してきた歴史の残り香のようなものを感じます。
子供も楽しめると思いますが、ここは現代を生きる大人にとって胸が熱くなるミュージアム。
何かの試練や壁にぶち当たった時に訪れれば、勇気をもらえるような気がします。
できれば一日中ゆっくりと、また何度でも訪れたいエリアです。